そして、そのころから彼の無謀なところには巧みに目をそむけ(?)、一緒にスキーに行ってくれる貴重な存在の女性が現れた。彼女もスキーは下手ではあったが、大好きだった。幾シーズンを一緒に過ごしたのだろうか。その中で二人が思い描いたのが「いつか一緒になる日がきたら、結婚式を兼ねてマッターホルンへスキーに行こう」であった。そして二〇〇一シーズン、これまでに何度も何度も口にしようとして言えなかった事を、彼はあるスキー場で告白したのであった・・・彼は思った「ヨーロッパでスキーが出来る!しかも一週間!!」。
しかし、女心となんとやらは変わるもの。「せっかくヨーロッパ行くのに、何でずうっとスキー場にいかなあかんの!」とこれまでの計画がご破算になりそうな、あたかも上司のようなつらい返事。されど、「結婚式を含むとあらば、ここは奥様に花を持たせねば一生文句を言われる」と、本能のごとく危機回避能力が働き思い切って彼は提案した。「じゃあ、ありきたりの旅行じゃつまらないから、スキージャーナルに載っているイタリアスキークラブに聞いてみようよ」と(この段階で既に3月半ば過ぎ。出発は4月20日の予定なのだぁ〜)。
その夜、彼はEメールをイタリアスキークラブに送った。返事が来るまでにはさしたる時間はかからず、ダウンロードしたサン・カルロ教会の写真を見て彼女はいった。「絶対ここで結婚式をしたい。マッターホルンはどうでもいい!(おいおい、そりゃあ無いでしょう。しくしく。)」と。彼は何とかしてスキーをせねばと思い、やっとの思いで2日のスキー日程を捻出し全9日間の旅行の日程を決めるまであっという間であった。さらに、年度末・はじめの多忙期という事も手伝いあっという間に出発の日がやってきてしまった。インターネットで取り寄せたウエディングドレスは荷物になるし、当然スキーは重い。が、ハネムーンなのだ。心は軽い。
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